先が丸い縫い針

 10年ほど前に、裁縫道具を日本から持参するのを忘れて、一度だけ現地で借りたことがありました。
現地で生活をしている日本人にも、針の事を聞かされていましたが、その時、借りた縫い針は日本でいう「畳針」の様でした。
どの様に縫うのだろうか!と、悩みました。布地に針が全く入って行きません。
考えたあげく、おそらく繕い物はしないのだろうと判断したのです。
衣類が破けていてもアイロンを当てるので、さほど気に留めない、それが一般的なのだ!

それから、縫い針のことなどすっかり頭から離れていた今年の事です。

私は地方の小学校見学で、歩きすぎて両足の小指に水膨れ、そのうちの1本には棘まで刺してしまいました。
時間が経つにつれて、水膨れはパンパンに腫れあがり、歩くにも響くほどになりました。
もう限界になり、その水膨れに穴を開けなくてはならなくなりました。
針を貸してほしいと頼みましたが、なかなか貸してくれません。
私は、皆さんがスカーフ止めにしている針か、縫い針で構わないことを伝えました。
何に使うんだと訊いてきたので、その膨れ上がった小指を見せました。
そしたら、な、な、なんと冷蔵庫に行き、中から袋入りの注射針を出してきたのです。
開封されていない注射針なんて、もったいなくて使えないと伝えると
先の尖ったものは、実はこれしかないと言うんです。
縫い針とスカーフ止めは、全く先が尖っていないと現物を見せて私を納得させたのです。
それで私は、貴重な注射針でその水膨れを破裂させ、歩けるようになったのでした。

ちなみに冷蔵庫にあった、袋入りの注射針は、インシュリン注射の為のものです。
1箱も入っていました。
なぜ冷蔵庫に入っているのか?おそらく盗難防止です。一般的に冷蔵庫は鍵付きなのです。

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